CM「サントリーロイヤル・ガウディ編」 [テレビ]
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極彩色のトカゲ、ミラーボール男、こちらをじっと見る百目、巨大なかぶりものをしたバレリーナ... 今も昔も、サントリーローヤルのこのCMほど強烈な印象を残してくれる作品は存在しないんじゃないかと思わせてくれる。これを小学生の時に見ちゃったわけだから、真っ白だった脳裏にがっつりと刻み込まれるのは無理もないことかもしれない。
後にこのCMはスペイン・カタルーニャの建築家アントニー・ガウディへのオマージュであることを知る。この異様な女性のかぶりものや、竹馬のようなスタイルもすべてスペインのお祭りに実在する。テレビの中の世界が急に身近に感じられ、不思議な異次元の世界が現実に存在しているということに高揚感を覚える。さらにここへ行ってみたい、という気持ちが沸き起こる。
その都市はバルセロナ。実際に行くことができたのは30を過ぎてからだった。バルセロナの街はからっと晴れていて、至る所に原色のモニュメントが立っているアートの街。薄暗い印象だったあのCMとはちょっと違う、明るいラテンの街でもあった。
動画配信の時代となり、懐かしいCMにも再会することができた。そのロケ地はサグラダ・ファミリアだとずっと思いこんでいたんだけど、こうしてみると不思議な仲間たちが登場するのはグエル公園とカサ・ミラの屋上とバトリョ邸の屋内。サグラダ・ファミリアは最後に砕け散るワンカットで登場するだけであった。思い込みってのは面白い。それと同時に、あのフランコの時代にこのCMを作ったスタッフのセンスの凄さに改めてうならされる。
サントリー・ローヤルのCMといえば、この後に登場するフランスの詩人ランボーの砂漠のサーカス編も印象深いが、初めてスペインに興味を持たせてくれた一遍として私にとってはこのガウディ編が珠玉の宝物なのである。
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